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無痛分娩

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当院での無痛分娩の実績

当院では2003年より硬膜外麻酔による無痛分娩を行っています。2016年までの硬膜外麻酔分娩の総数は1,322例でした。当初は約10%でしたが、2016年では36%と増加傾向にあります。その間、麻酔による事故症例は0例でした。

無痛分娩のタイミング

当院の無痛分娩は安全を考慮し、24時間体制ではなく、夜間や休日などでは無痛分娩をご提供できない場合もあります。そのため、無痛分娩を強く望まれる産婦さんには計画分娩(入院日を決めて分娩を行う)をお勧めしています。
無痛分娩を迷われている方、自然陣痛による無痛分娩を希望されている方は、陣痛又は破水が発生してからの入院となります。麻酔の準備や施術、麻酔効果がみられるまでにある程度の時間を要しますので、分娩の進行が早く間に合わない場合などは麻酔の施行が不可能となる場合があります。

無痛分娩に使用される硬膜外麻酔について

全身麻酔ではなく意識のある状態で行う部分麻酔です。麻酔としては一般的な麻酔方法の一つで、除痛効果は麻酔薬の投与量により決まります。麻酔効果を強めれば帝王切開にも問題なく対応できるほど強い除痛効果を発現させます。

無痛分娩に使用される硬膜外麻酔について

脊椎中央の神経が通る道(神経管)の中を脊髄(①)という太い神経が通っています。脊髄は硬膜(②)という硬い膜で包まれています。脊髄から分岐した神経(③)は、硬膜から出て末梢へ移行します。硬膜外腔(④)に麻酔薬を投与することにより神経根(③)に麻酔効果を発現し、脊髄自体に麻酔がかかる事なく神経根以降の末梢神経全体に麻酔がかかります。
硬膜外針を腰部皮膚表面から硬膜外腔に達するまで穿刺し、やわらかい硬膜外カテーテルを留置します。留置が完了したら硬膜外針は抜去し、硬膜外カテーテルのみを残します。分娩が進行する適度な陣痛が出現した時に硬膜外カテーテルより麻酔薬を入れて痛みの軽減を図ります。臍より下の部位で冷たさや温かさを感じる感覚、痛みを感じる感覚を鈍化させます。また痛みが強くなってきたらその都度麻酔薬を追加していきます。
「はじめから全く痛みがない」ということではなく、確実に分娩につながる陣痛が始まり、その陣痛が強くなってきているのを確認してから薬の注入がはじまります。全く痛みがない状態を「0」と考えると、この硬膜外麻酔によって「0」近くまで痛みが軽減する方もいれば、「2~3」と少しの痛みを感じる方も見えます。特に赤ちゃんが生まれる間近になると圧迫感や骨盤にはまってくる、挟まってくる感覚を痛みと感じる方もいます。

以下の状態の時は硬膜外麻酔が困難となる場合があります

  • 麻酔薬アレルギーがある
  • 妊娠中に体重増加が基準値を超えてしまった、むくみや肥満傾向が強いなどの為、触診にて背骨が確認できない
  • 背骨の変形を伴う病気などがある
  • 恐怖心などのため硬膜外麻酔のカテーテル留置を行う際に大きく動いてしまう
  • 血が固まりにくくなるような体質または病気がある、血を固まりにくくする薬(抗凝固薬など)を使用されている、または全員の妊婦さんにスクリーニング検査として行われる血液凝固機能検査で異常があるなどの場合は、硬膜外麻酔は行えません。

無痛分娩のメリット

  • 陣痛の痛みの軽減
  • リラックスすることにより体力消耗を減少させる
  • ゆっくり赤ちゃんの頭を出すことができるため、会陰の伸びが良くなる。そのため、会陰切開率が減少し、会陰裂傷が軽度もしくは無くなりやすい
  • 産後の処置の痛みがない(会陰切開・裂傷部分の処置、胎盤娩出困難な際の胎盤用手剥離、出血多量時の処置など)
  • 緊急時の帝王切開へ直ぐに切り替えが可能である
  • 妊娠高血圧症候群やパニック障害を軽減しうる

無痛分娩のデメリットやリスク

発生頻度が稀ではない副作用

  • 分娩遷延:麻酔の影響により分娩の進行が停滞することがあります。そのため、陣痛誘発剤(促進剤)の使用や分娩2期の吸引分娩などが増える傾向にあります。非硬膜外麻酔と硬膜外麻酔下の分娩を比較した研究では、経腟分娩の途中から帝王切開に移行する頻度の差には変化がありませんでした(※1)。尚、両者の間に新生児仮死(赤ちゃんがぐったりとした状態で生まれること)の発生に差はなかったとの研究報告もあります(※2)
  • 血圧低下:麻酔の影響により血圧が低下することがあります。血圧低下に伴い吐気や気分不快を感じられる方もいます。また子宮への血流量が減少し、一時的に胎児心拍が低下する事もあります。点滴を増やす、血圧を上げる薬を使用するなどの処置により短時間で回復します。
  • 発熱:38℃以上の発熱を起こすことがあります(10%)。産婦さんに痛みがないため、発汗をしないことが原因です。分娩経過や赤ちゃんへの影響はありません。感染などによる炎症が原因ではないかどうか血液検査を行います。
  • かゆみ:麻酔の影響でかゆみを感じる可能性があります(50%)。我慢できないほど強い場合は冷やしたタオルを当てると和らぎます。
  • 排尿障害:麻酔の影響で尿をしたい感じが弱くなりますので、麻酔使用後は尿管カテーテルを膀胱に留置して自然にパック内に尿が出るようにします。麻酔が効いているためカテーテル留置の際の痛みはありません。赤ちゃんが生まれる時には一時的に外し、生まれた後しばらくは再度留置します。
  • 足の感覚が鈍くなる、力が入りにくくなる:硬膜外麻酔の影響で起こる副作用ですが、麻酔効果が消失すると徐々に回復します。
  • 背部痛:硬膜外麻酔のカテーテルが留置されている部分や留置されていた部分の痛みや違和感を感じることが30~40%程度に見られます。留置されていた部分の痛みが強くなった場合は診察の必要があります。

 

※1天野完:我が国における無痛分娩の変遷、産科と婦人科 2015;5:479-483〇〇
  原澄子:ローリスク症例に対する無痛分娩、周産期医学 2015;12:1719-1723
※2長谷川潤一:硬膜外無痛分娩と分娩予後、産科と婦人科 2015;5:497-500〇〇
  原澄子:ローリスク症例に対する無痛分娩、周産期医学 2015;12:1719-1723

まれに起こる合併症

  • 頭痛:処置の際に硬膜外麻酔針が硬膜を貫通してしまうと硬膜外腔に髄液が流出する状態となり頭痛を起こす可能性があります(0.19%)。約3~10日程で自然に完治します。
  • お尻や太ももの電気が走るような感覚:硬膜外カテーテルが入る時などに脊髄近くの神経にカテーテルが触れることがあるためみられる症状です。一時的な症状であれば問題ありませんが、症状が続く場合には硬膜外カテーテルの位置を調整するなどの処置を行います。
  • 硬膜外血腫:硬膜外腔に血のかたまりや膿が溜まることがあります。1/17万例と非常に稀です。血のかたまりや膿が溜まって神経を圧迫することがあります。永久的な神経障害を残すことがあるためできるだけ早く手術をして血液のかたまりや膿を取り除く必要があります。事前の血液検査で血液凝固機能に異常のあるかた、血液が固まりにくい体質で出血傾向のある方かたや、麻酔をする部位や全身に炎症があるかたなどは血のかたまりや膿ができやすいので無痛分娩を行うことができません。
  • カテーテル抜去困難:硬膜外カテーテル抜去が困難なためカテーテルが留置した状態となることがあります。小手術で速やかに抜去します。
  • 血管内迷入による局所麻酔薬中毒:妊娠中の血管は通常より膨らんでいるため、硬膜外カテーテルが血管の中に入る恐れがあります(2%)。その状態で麻酔薬が血管内に多量に入ると耳鳴りや、舌のしびれ、金属味などの初期症状が見られます。さらに血液中の濃度が高くなると、けいれんを起こし、心臓が止まるような不整脈が出ることがあります。発生した場合は、投薬治療を行います。
  • 全脊髄くも膜下麻酔(くも膜下腔迷入):目的の硬膜外腔へカテーテルを入れる際や分娩経過中に、硬膜外カテーテルが脊髄くも膜下腔まで入ることが稀にあります。硬膜外腔に入れるはずの薬液がくも膜下腔に入ってしまうと麻酔の効果が急激かつ強度に現れ、血圧低下や、重症では呼吸不全となることもあります。その場合は、投薬治療、酸素投与や気管内挿管などの呼吸管理治療を直ちに行います。

血管内迷入、くも膜下腔迷入に対する対処方法

  • 硬膜内および血管内への薬液投与を防ぐために、麻酔薬を注入する度に硬膜外カテーテルから髄液や血液などの逆流がないことを確かめてから麻酔薬を投与します(吸引テスト)。
  • 麻酔薬の注入を3mlまでに制限することにより、くも膜下腔や血管内に誤注入してしまっても軽い症状でとどめることができます。そのため、1回量の8-10mlを1度に注入するのではなく1回量を分割して注入することで重篤な症状に移行しないように注意しています。(少量分割投与)。
  • 酸素モニターや血圧測定などのバイタルサインチェックを頻回に行い、スタッフが常に声をかけていきます。
    万が一急激な血圧低下や呼吸不全、意識消失などの副作用が発生した場合に、直ちに対応できるよう普段より医師をはじめスタッフも日々の研修と訓練を行っており早急に対応できるよう準備をしています。

硬膜外鎮痛法を受けなくてもお産の後に起こる可能性がある合併症

  • 産後の神経障害:お産の後の神経障害は、赤ちゃんの頭とお母さんの骨盤の間で神経が圧迫されることや、お産の時の体勢が原因で起こることが多いといわれています。
  • 腰痛:妊娠して大きくなった子宮の重みがかかることで、背骨にかかる負担が大きくなり起こります。

ご協力をお願いしていること

  • 血圧計などの測定機械を付けたままの状態でお産となります。お産後もしばらく適宜測定を続けて行います。
  • 点滴を行いながらのお産となります。
  • 無痛分娩の処置は慎重な処置です。ご家族の方には医師の処置が終了するまで退室をお願いしています。(通常処置は数分で終了します。体のむくみや骨格の状態によっては時間がかかることもあります。)
  • 無痛分娩の処置の際には背骨が分かりやすくなるような体勢をお願いしています。下の図の体勢をできるだけキープしていただきます。処置中は頭を動かすなどの動作で背骨が動いてしまうため自己動作は危険となります。助産師や看護師がお声掛けしながら体を支えます。何か気になる事があればお伝えください。

ご協力をお願いしていること

  • 麻酔薬使用後は血圧低下を防ぐため、右向きか左向きで過ごしていただきます。ベッドを起こし食事をする等は可能です。いよいよ赤ちゃんが生まれる分娩時には上半身を斜めに起こした状態の仰向けとなります。
  • 同じ体勢での圧迫による神経障害を防ぐために1~2時間に1回左右の向きを変えることをお願いしています。
  • 麻酔薬使用後は転倒防止のため歩くことはできません。ベッド上で過ごしていただくことになります。
  • 尿意が消失するため、尿管を留置します。

無痛分娩がお産に与える影響

  • 分娩時間:子宮の出口が完全に開いてから赤ちゃんが出るまで(分娩第2期)の時間が長くなることがあります。赤ちゃんが元気に産道を降りてきていれば、時間が延長することは問題ないと考えられています。
  • 吸引分娩、鉗子分娩:分娩第2期が著しく長く、自然娩出が困難と判断される場合や、お母さんや赤ちゃんの状態に異常があるなどの場合、赤ちゃんが生まれるのを助ける目的で行います。無痛分娩の場合、吸引分娩(又は鉗子分娩)となる頻度が若干高まりますが、帝王切開への移行率は普通分娩(非無痛分娩)と変わりません。

麻酔薬の赤ちゃんへの影響

硬膜外麻酔は体の末梢へ向かう神経のみに直接的に麻酔を効かせて痛みを取る麻酔法です。 全身麻酔のように麻酔薬が全身にめぐると赤ちゃんへの影響が懸念されます。それに対して、硬膜外麻酔では少量の麻酔薬で効果が出現します。そのため、麻酔薬が赤ちゃんへ与える影響はないと考えられています。
お母さんの血液と、お母さんから赤ちゃんに届く臍帯での血液で麻酔薬の濃度を測定し、さらに生まれた赤ちゃんの状態を調べた研究では、赤ちゃんの状態を評価するための値(心拍数、呼吸状態、筋緊張、皮膚の色、反射を点数化)や、 赤ちゃんの意識状態、いろいろな刺激に対する反応を調べ、いずれも正常でした(※3)。また赤ちゃんの体をめぐったあとにお母さんに戻る血液(胎児静脈血)を検査し、また赤ちゃんの状態を調べ、全て正常で影響を認めないという結果でした。

 

※3産科麻酔科学会 http://www.jsoap.com/pompier_painless.html
Bader et al. Anesth Analg. 81:829-832,1995